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Blu-ray終焉は“連鎖”だったのか -- メディア、レコーダー、ドライブの動向を時系列で読み解く

2026年に入り、Blu-ray関連機器の出荷終了や生産完了の発表が相次いでいる。こうした動きは、10年代に始まったBlu-rayメディアの販売終了や事業撤退の“連鎖”なのだろうか。時系列を整理すると、その答えは必ずしも単純ではない。


10年代:メディアメーカーの撤退が相次ぐ

 まず、Blu-rayメディアをはじめとする光メディア市場から、日本の大手メーカーが撤退し始めたのは10年代半ばである。15年12月、太陽誘電が光記録メディア製品の販売を終了。続いて、19年12月には三菱ケミカルメディアがCMC Magnetic Corporation(現Verbatim)へ事業売却を行い、国内で存在感のあったメディア供給企業が次々と市場から姿を消していった。


20年代:メディア生産自体も停止へ

 この流れは20年代にも及び、国産Blu-rayメディアは縮小の一途をたどった。23年2月、パナソニックが録画用Blu-rayメディアの生産を完了。続いて25年2月にはソニーも生産を終了した。


 こうしたBlu-rayメディアの動きだけを見ると、供給が細った結果、関連機器市場も縮小したと考えたくなる。しかし、実際のところ、機器側の動きとは時系列が合致していない。


26年:レコーダーとドライブが“同時多発的”に終了

 Blu-rayレコーダーやPC用外付けBlu-rayドライブの出荷終了が表面化したのは、むしろ26年に入ってからだ。


 レコーダー市場ではTVS REGZAが26年1月時点で生産を完了、翌2月にはソニーが出荷終了を明らかにした。パナソニックは販売を継続しているものの、出荷価格の改定という形で市場環境の変化に対応している。


 一方、PC用外付けドライブ市場も26年に入って急速に状況が動いた。26年2月末、バッファローがドライブ製品の販売終了を発表、同年3月にはエレコムも同様の方針を発表した。


 このように“関連機器の終焉ラッシュ”は26年という一点に集中しており、メディア事業の縮小から連鎖的に起こった現象とは必ずしも言い切れない。


関連機器の市場縮小の主因はメディアではない


オンデマンド型のサービス利用率(情報通信白書)
オンデマンド型のサービス利用率(情報通信白書)

 レコーダー市場の縮小については、既にさまざまなメディアで報じられているとおり、コロナ禍以降にオンデマンド型配信サービス、とりわけ動画配信サービスの利用が一気に広がった(図1)。配信サービスの拡大により録画という行為の必要性が薄れ、視聴スタイルが変化した結果、レコーダーの需要は長期的に下落した。


ノートPCの搭載ドライブ構成比
ノートPCの搭載ドライブ構成比

 PC用外付けドライブ市場においても同様だ。かつてはソフトウェアをメディアで購入しインストールするのが一般的だったが、現在はダウンロード販売中心へと移行している。その結果、外付けドライブを必要とする場面は激減し、25年時点ではノートPCにおけるBDドライブ搭載はほぼゼロ、DVDドライブの搭載率も2割台にとどまっている(図2)。


 また、PCでの動画視聴もレコーダー同様に配信へとシフトしており、外付けドライブの需要減少を後押しした。加えて、PCデータや写真・動画データのバックアップ用途においても、大容量かつ安価で何度も読み書きできるSSDやUSBメモリ、クラウドストレージサービスへと流れていった。


 つまり、メディアの生産終了が引き金となり関連機器市場の販売が落ち込んだわけではなく、機器側は独自に需要を失っていたと言える。


Blu-rayメディアはこのまま消えていくのか?


メディア、レコーダー、ドライブの販売指数
メディア、レコーダー、ドライブの販売指数

 では、Blu-rayメディアの販売も同様に終息に向かうのだろうか。ここで注目したいのは、レコーダーとPC用外付けドライブは21年以降に急落しているのに対し、メディアは緩やかな減少にとどまっている(図3)。下落スピードには明確な違いがある。


 関連機器の販売は急速に縮小している一方で、メディアの販売は比較的緩やかに下落しており、需要が完全に消えたわけではない。ユーザーは依然として一定数存在するため、Blu-rayメディア市場は今後も続く可能性が高い。しかし、関連機器の寿命が尽きれば、メディアの役割も、いずれ終焉を迎えることになるだろう。(BCN総研・森英二)


本記事で使用したPOSデータはこちら=https://data.bcnranking.com/

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