top of page

地デジ特需から動画配信へ、レコーダー市場は08年比4分の1以下に

2025年12月1日に、一般社団法人私的録音録画補償金管理協会(sarah)により、私的録音録画補償金の徴収が始まった。補償金額はレコーダー1台あたり200円(税込)、Blu-rayディスクは基準価格の1%(税別)だ。レコーダー市場に補償金制度だけでなく、メーカーの動向なども含め、市場に変化が起こっている。


 08年以降のレコーダー市場を色々な数値を使い、推移をみていく。販売データは、家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」をもとに販売台数指数を算出した。出荷台数は、電子情報技術産業協会(JEITA)の民生用電子機器国内出荷統計から、BDレコーダーの出荷台数。ただし、以前は録再と再生専用を合計した出荷数の発表だったため、レコーダーとプレーヤーの出荷台数を使っている。総世帯の普及率と保有台数、平均使用年数は、内閣府の消費動向調査を用いる。こちらもJEITA同様、光ディスクプレーヤー・レコーダーを合わせた数値となる。


レコーダー市場の歴史を簡単に振り返り


 05年から06年頃、DVDの次の規格として、ソニーやパナソニックなどが推すBlu-ray(BD)陣営と東芝などが推すHD DVD陣営による、「次世代規格争い」があった。08年2月に東芝はHD DVDからの撤退を表明したことで、次世代規格はBDに統一された。


 東芝は10年にBDレコーダー市場に参入し、ちょうど15年が経過した。現在、TVS REGZAのwebサイトをみると、レコーダーは在庫限りや生産終了と表記されている。他に、ソニーは24年4月、シャープは24年11月に新製品を発売してから、1年以上新製品が出ていない状況。パナソニックは25年に3モデルを発売した。しかし、パナソニックはコスト増や部材不足を背景として、26年1月13日に価格改定を実施した。


販売データと出荷データでみるレコーダー市場


販売台数指数推移(BCNランキング)
販売台数指数推移(BCNランキング)

 販売台数の動きをみる。08年の販売台数を「100.0」とする指数を算出した。地上デジタル放送(地デジ)への移行を追い風に、市場は右肩上がりで推移。地デジ切り替えの11年には191.0と基点のほぼ倍まで達した。しかし、13年以降は基点を下回る。20年のコロナ禍以降、動画配信や見逃し配信サービスの普及・拡大に伴い、需要は更に冷え込む。25年は基点とする08年と比較し、23.1まで落ち込んでおり、市場規模は4分の1にも届いていない。


レコーダー・プレーヤーの出荷台数(JEITA)
レコーダー・プレーヤーの出荷台数(JEITA)

 JEITAの出荷台数の推移も、販売台数指数とほぼ同様の動きを示す。地デジ切り替えの11年には、出荷台数が864万4千台まで達した。以後、ほぼ右肩下がりで推移し、25年は66万台と約10分の1の水準となった。販売台数指数よりも落ち込みが激しいことがわかる。



消費動向調査では、どのような推移を示すのか

光ディスクプレーヤー・レコーダーの普及率と保有台数(内閣府 消費動向調査)
光ディスクプレーヤー・レコーダーの普及率と保有台数(内閣府 消費動向調査)

 内閣府が発表する消費動向調査を用い、総世帯における光ディスクプレーヤー・レコーダーの普及率と保有台数の変化をみる。普及率におけるピークは、13年の69.9%だが、08年から24年までは6割台を維持していた。しかし、25年の普及率は前年から8.8ポイント下落し、53.0%と初めて6割を下回った。販売や出荷だけではなく、普及率からもレコーダー離れが進んでいることがわかる。


 次に保有台数をみる。この数値は、100世帯あたりの保有台数をあらわしている。例えば、13年の保有台数124.2台とは、1世帯あたり1.24台保有しているということだ。08年の保有台数は93.6台で、1世帯あたり1台に届いていなかったが、13年にかけて右肩上がりに推移。その後、およそ1世帯あたり1台を維持していた。25年は前年から20ポイント超下落し、70.4まで落ち込む。実に1世帯1台を下回る水準となった。


光ディスクプレーヤー・レコーダーの平均使用年数(内閣府 消費動向調査)
光ディスクプレーヤー・レコーダーの平均使用年数(内閣府 消費動向調査)

 最後に同調査の平均使用年数をみると、年々長期化しており、08年の4.5から右肩上がりに推移し、25年は10.1に達し、ほぼ倍となっている。12年と13年に平均使用年数が短くなっているのは、地デジ化によるデジタルチューナー搭載機への切り替えに伴う、買い替えを挟んでいるため。


 このように、販売データと出荷データ、普及率・保有台数、平均使用年数のいずれをみても、レコーダー市場の回復は困難を極める。市場自体は残るものの、今後もメーカーの撤退が進む可能性は高く、市場の縮小傾向が続くのは確実だ。レコーダーはその役割を動画配信サービスへと譲った形だ。(BCN総研・森英二)

コメント


bottom of page