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印刷離れが進行、年賀状減少でインクジェットプリンター市場は縮小

2026年用年賀はがきの総発行枚数は、7億8900万枚強だった。この値は25年と比較すると73.0%だ。年賀状シーズンと合わせて動く、インクジェットプリンター(IJP)市場は、11月と12月の販売台数を合わせると年間の販売の2割を超える。今回は、家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」を使い、直近3年間のIJP市場を振り返る。


年賀はがきの総発行枚数と年賀状の郵便料金変遷
年賀はがきの総発行枚数と年賀状の郵便料金変遷(日本郵便)

 まず、14年以降の年賀はがきの総発行枚数をみる。14年は33億枚を超えていたが、年々減少し17年には30億枚、21年には20億枚を下回り、25年は10億枚に届かなかった。


 同様に、年賀はがきの郵便料金の動きも追ってみる。14年4月の消費増税(5%から8%への税率変更)に伴い、50円から52円へ値上げ。17年に62円に値上がりしているが、特例で年賀状は52円に据え置きとなった。18年に年賀状も62円に統一された。19年に再び消費増税(8%から10%)に伴う値上げで63円に。24年10月に郵便料金を大幅改定し、85円へと一気に値上がりした。この郵便料金の値上がりも、年賀はがきの総発行枚数に影響したと思われる。


インクジェットプリンターの販売台数指数推移
インクジェットプリンターの販売台数指数推移(BCNランキング)

 IJP市場は年賀状と連動している。冒頭にも書いたように、市場における11月と12月の販売台数は年間の2割を超える規模に相当する。しかし、直近の3年をみると、23年12月の指数は170.1に達していたが、24年は151.0、25年は120.8と、3年間で指数は約3割低下した計算だ。年賀はがきの総発行枚数の動向と同様に、IJPの販売台数も明確な減少トレンドを描いている。


 書き入れ時となる年末に向けて毎年、キヤノンとエプソン、ブラザーの大手メーカーは10月から11月に、新製品の発売を開始する。最初に販売をけん引するのは型落ちの製品が端緒となるが、12月に入るころには、当年に発売した新製品が徐々に構成比を増やしていく、というサイクルを繰り返す。


 また、年度末にも販売の山が存在する。新生活に備え、パソコンと同時にIJPも購入する傾向が強いためだ。3月も年間の販売の1割近い比率を占め、25年は11月の販売台数を上回る水準に達する。年末の販売が下がったことにより、年度末の販売構成比が相対的に上昇している。


 メールやSNSの発達に伴い、年賀状文化が衰退している実態が、年賀はがきの総発行枚数減少、ひいてはIJPの販売減につながっていると言える。他にも、ペーパーレスへの移行やコンビニエンスストアに置いてあるマルチコピー機の活用も、IJPの販売減に影響を及ぼしている。こうした流れは急速に進むという感じではなく、緩やかに進行していくため、今後もIJP市場は徐々に縮小していくことは避けられない。(BCN総研・森英二)

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