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AI需要がメモリー需給を圧迫、コンシューマー市場に広がる価格上昇圧力

更新日:2025年12月23日

Micron Technologyがコンシューマー向け事業からの撤退を発表した。理由は、AIの利用拡大により、データセンター向けメモリーやストレージの需要急増に対応するため、供給とサポートの強化としている。Micron Technologyは世界的にもメモリーとSSDのシェアは上位5社以内に入る。コンシューマー市場からの撤退は大きな影響を与えることは間違いない。


 現状、コンシューマー市場にどのような影響が出ているのか、家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」を使い、状況を把握していく。


25年11月に跳ね上がったDDR5のGB単価


メモリー 規格別販売数量構成比
メモリー 規格別販売数量構成比

 

 BCNが収集するPOSデータを使ってメモリー市場をみていく。まず、規格別に販売数量構成比を算出した。2022年11月時点では、DDR4が8割を占めていた。一世代前のDDR3は13.5%、DDR5は1割に満たない。次世代のDDR5は月を追うごとに構成比を増やしていく。24年11月に3割台、25年7月は4割台となった。4か月後の11月には53.9%に達し、DDR4の構成比を上回ってボリュームゾーンとなる。


メモリー 規格別GB単価
メモリー 規格別GB単価

 

 次に、規格別に1GBあたりの単価(GB単価)を算出した。22年11月ボリュームゾーンだったDDR4のGB単価は390.83円。同時期のDDR5は、739.39円と割高だ。その後23年、24年とそれぞれのGB単価は、上下動を繰り返しながら、徐々に安価へと振れていく。25年夏以降、DDR4/DDR5ともに値上がり局面へ転じた。まずDDR4において、5月の227.67円を底にGB単価の上昇が始まった。DDR5では、8月に直近3年で底値となる375.09円を記録、その後上昇へと転じた。11月はともにGB単価が跳ね上がり、DDR4では550.56円(前月比:1.46倍)、DDR5は698.35円(同1.66倍)に高騰している。


メモリー 販売数量指数
メモリー 販売数量指数

 では、上記のようなGB単価の変動を繰り返したメモリー市場において、販売数量がどのような変化を経ていたのか。紐解くため、22年11月の販売数量を「100.0」とした指数を算出し、推移を追っていく。22年11月以降は、GB単価の下落を背景に指数は上昇(販売数量は増加)していった。23年8月にGB単価の上昇が始まると、指数はビビッドに反応、販売は鈍化した。このようにGB単価と販売は密接な動きをみせる。特に25年10月から11月にかけてGB単価が高騰した際、指数が急落した。25年11月の指数は54.0と、3年前の半分ほどの水準にまで落ち込んだ。


内蔵SSD、ボード型のGB単価に値上がりの萌芽


内蔵SSD タイプ別販売数量構成比
内蔵SSD タイプ別販売数量構成比

 次に、内蔵SSDについてみていく。M.2などの「ボード型」と、それ以外の2.5"内蔵型などの「その他」の2種類に分け、タイプ別構成比を算出した。3年前の22年11月時点では、その他が53.2%と過半を占めていた。しかし、23年夏前後にボード型が過半を占め、24年11月には6割台に突入。25年7月には74.1%に達したが、翌8月には再び6割台に戻った。11月は70.2%と7割台に戻している。


内蔵SSD タイプ別GB単価
内蔵SSD タイプ別GB単価

 タイプ別にGB単価を算出した。23年8月-9月にかけて底値となった後、一年かけてGB単価は緩やかに上昇。24年6月以降、ボード型・その他ともにGB単価は10円を挟み、上下動を繰り返しながら緩やかに安価へと振れていた。しかし、25年11月に再び動き始め、前月よりもGB単価は上昇。ボード型は11.30円、その他は10.46円となった。メモリーほど、GB単価の上昇はみられないが、上昇の萌芽がみえ始めているといえそうだ。


内蔵SSD 販売数量指数
内蔵SSD 販売数量指数

では、内蔵SSDの販売数量指数を使い、販売動向を追う。23年はGB単価が下落していたが、指数も右肩下がりで推移。GB単価に関わらず、内蔵SSDの販売は鈍いことがわかる。その後も指数は基点を上回ることなく、低い水準で推移している。24年8月の41.0を底に、指数は若干上向きとなったものの、基点とする22年11月と比較し、40-60%程度に留まる。25年10月には指数が70.7と改善に向かったものの、翌11月には48.0まで落ち込んだ。


 内蔵SSDは、メモリーと異なりGB単価と販売数量指数が連動していない理由としては、クラウドサービスの拡大が挙げられる。以前はパソコンなどのデバイスに大容量ストレージを搭載し、ローカルにデータを保存する使い方が一般的だった。しかし近年はクラウドストレージの普及により、デバイス側に大容量の内蔵SSDを求める需要が減少しているためと考えられる。


 以前からメモリーやSSDの価格は水物であった。そのため、店頭には価格表が貼り出され、毎日のように更新されている。少しでも安いうちにメモリーを購入しようという需要が発生している。急な値上がりに対し、販売店側も買い占めなどの対処として、購入制限などの策を打っている。


 25年10月のWindows 10のサポート終了により、パソコンの買い替え需要は活性化した。しかし、値上がりしているメモリーやSSDを使ったパソコンは、製造コストの増加が見込まれ、今後値上がりするのは不可避だ。更にメーカーが値上げを示唆するニュースも出始めている。メモリーや内蔵SSDの単価上昇によるパソコンの販売価格上昇を見込んで、年末商戦でも需要が活性化すると考えられる。(BCN総研・森英二)

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