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生成AIの利用拡大は、パソコン市場にどのような影響を与えるのか?

2010年代に第三次ブームを迎えたAIは、20年代に入り対話型生成AIの登場で普及が加速した。現在、日本国内では生成AIサービスの利用経験率が半数を超え、これまでを上回るスピードで普及している。24年に入るとAI PCも登場し、生成AIの利用拡大とAI PCを含めたパソコン市場にどのような関連があるのかを探っていく。


生成AIの利用経験は半数超


生成AIサービス利用経験(総務省 情報通信白書)
生成AIサービス利用経験(総務省 情報通信白書)

 まず生成AIの利用状況についてみる。総務省の情報通信白書によると、生成AIサービスの利用経験率は年々増加していることが明らかになった。23年度調査では9.1%に過ぎなかったが、24年度は26.7%と約3倍に拡大、最新の25年度調査では58.8%に達した。わずか2年で約6倍超となり、これまでのAIブームとは異なるスピードで普及している。


生成AIサービスの年齢別利用経験(総務省 情報通信白書)
生成AIサービスの年齢別利用経験(総務省 情報通信白書)

 同白書に、年齢層別の利用状況の調査結果が掲載されていたのでそちらについてもみていく。若年層での比率は高く、特に15-19歳では91.7%、20-29歳は78.2%、30-39歳も56.3%と、30代以下では半数を超えている。年代が高まるにつれ比率は下がるとはいえ、60-69歳でも33.5%に達しており、かなり普及していることが分かる。白書内ではドイツ、米国、中国と比較しているが、他国においても若年層は高い比率となっている。


 また、若年層ほど「週にすくなくとも1回」利用する比率が高い。生成AIの利用用途の上位になったのは、「情報の理解」「文章作成や校正」「日常の行動・判断に関わる相談」だった。生成AIが日常的な情報収集や文章作成のツールとして利用されていることがうかがえる。ちなみに、生成AIを使っていない理由の上位は、「自分の生活や業務に必要ない」(42.4%)、「使い方が分からない」(38.8%)だった。


生成AIを使うためのデバイス普及率


 次に内閣府の消費動向調査を基に、生成AIを利用するためのデバイスの普及率をみていく。ここでは総世帯の調査結果を使用し、年代については世帯主の年齢階級に従っている。


主要耐久消費財等の普及状況(内閣府 消費動向調査)
主要耐久消費財等の普及状況(内閣府 消費動向調査)

 全体におけるデバイスの普及率は、パソコンが67.4%、タブレット型端末は37.1%、スマートフォンが91.4%となる。インフラとなっていることもあり、スマートフォンの普及率が最も高い。この傾向は世帯主の年齢階級別にみても大きな差はない。しかし、29歳以下ではパソコンの普及率が66.6%と70歳以上の次に低い比率となっている。


 ここまでの調査結果によると、若年層の生成AI利用経験率は高いが、パソコンの普及率は低いという実態がみえてくる。ただし、両調査の対象者は同一ではなく、また生成AIの利用が自己所有デバイスによるものかは不明なため、単純に比較することはできない。しかし、若年層での生成AIの利用とデバイスの普及率にギャップがあり、生成AIの利用環境はパソコンに限られないという構図がみえてくる。では、AI利用の拡大とAI PC市場の成長がどの程度連動しているのかみていく。


AI PC販売の現状


 AI PCの販売状況については、BCNランキングのPOSデータを利用する。25年以降のWindows PC(デスクトップPCおよびノートPC)を対象に、NPUを搭載する製品の販売台数構成比を算出した。なお、ショップオリジナルPCとメーカー直販分は含まず、Surfaceの販売台数は非公開のため集計対象外となる。


Windows PCに占めるAI PC販売台数構成比(BCNランキング)
Windows PCに占めるAI PC販売台数構成比(BCNランキング)



 Windows PCにおけるAI PCの販売台数構成比は、25年10月までは1割台で推移し、同年11月以降も2割台にとどまっている。生成AIの利用は拡大している一方で、AI PCの販売は必ずしも比例していないようだ。26年3月に40.0%、4月に34.0%と高い水準となった背景には、新生活需要の影響もあるとみられる。生成AIの利用者が増加しているにもかかわらず、AI PCの販売比率が伸び悩んでいる要因としては、生成AIを利用するデバイスの多様化や価格差など、複数の理由が考えられる。


AI PCと非AI PCの平均単価比較(BCNランキング)
AI PCと非AI PCの平均単価比較(BCNランキング)


 では、なぜ利用率の上昇と販売拡大が結び付いていないのか。その一因と考えられる価格に着目し、AI PCと非AI PCそれぞれの平均単価を比較した。25年1月時点では、AI PCと非AI PCの平均単価の差は7.5万円だったが、26年1月には4.5万円まで縮小。しかし、その後は部材価格の上昇などを背景に、26年7月は5.4万円まで再びその差が広がった。


生成AIをどのデバイスで利用するか


 AIインフラへの投資は世界的に拡大している。しかし、その恩恵が必ずしもAI PCの販売増に直結しているとは言い切れない状況もみえてきた。生成AIはクラウド経由でも利用できるため、AI PCを購入せずに利用しているユーザーも少なくないと考えられる。生成AIの利用が拡大し続けるとして、その利用の中心となるデバイスはAI PCを含めたパソコンなのか、それともスマートフォンなのか。生成AIの普及とデバイス利用の関連について、引き続き注目していきたい。(BCN総研・森英二)

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