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ノートPC市場、平均単価が5年間で38%上昇

生成AI需要の拡大を背景に、メモリーやSSDといった半導体関連部材の価格が上昇している。半導体を多く搭載するデジタル家電製品、とりわけノートPCにも、その影響は大きく及んでいる。今回はノートPC市場を取り上げ、2020年以降の平均単価の推移と、その背景を整理していく。


ノートPCの平均単価推移


ノートPCの平均単価推移
ノートPCの平均単価推移


 2020年1月のノートPCの平均単価は10万1000円だった。当時はWindows 7のサポート終了に伴う更新需要が一巡する局面にあったが、直後に発生した新型コロナウイルス感染症の拡大により、在宅勤務やオンライン授業向けの需要が急増した。


 メーカー各社は、Windows 7の更新需要の反動減を見込んで生産を抑制し、ノートPCの在庫は急速に逼迫した。加えて、半導体の発注も絞られていたため、半導体の需給バランスが崩れたことにより、平均単価は上昇基調へと転じた。


 22年以降は、円安の進行が平均単価をさらに押し上げた。輸入部材比率の高いノートPCにとって、為替の影響は大きく、価格転嫁が避けられない状況となった。こうした環境は23年以降も大きく改善しておらず、単価上昇に歯止めがかかっていない。


 同時期、生成AIの普及を背景に、メモリーやSSDといった部材は、単価の高いサーバー向けへの供給が優先されるようになった。この影響はコンシューマー向けノートPCにも及び、部材コストの上昇要因に結びついている。


Windows 11への移行でシステム要件が上がる


標準搭載メモリー容量の構成比
標準搭載メモリー容量の構成比


 加えて、Windows 11への移行も平均単価を押し上げる要因だ。Windows 11では、実売製品として4GB以上のメモリー搭載が事実上の標準となり、Windows 10と比べて構成の底上げが進んでいる。また、生成AI関連機能への対応を意識したモデルでは、より多くのメモリーを搭載する傾向もみられ、これも平均単価を押し上げる要因だ。


標準搭載SSD容量の構成比
標準搭載SSD容量の構成比


 記憶装置も同様で、Windows 11では64GB以上の空き容量が求められることから、SSDの大容量化が進展している。こうした標準スペックの引き上げは、そのまま製品価格に反映される。


 これらの結果、ノートPCの平均単価はこの5年間で約38%上昇した。単価上昇は、メモリーやSSDなど部材価格の高騰といった一過性の動向に加え、OSにおけるシステム要件の引き上げといった構造的な変化など、複数の要因が複雑に影響した結果だ。

(BCN総研・森英二)

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