<2026年どうなる家電量販店>上新電機は「Joshin」の商号変更でリフォーム強化、法人向けEOS特需でVAIOが好調のノジマ
- 細田 立圭志

- 3月13日
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短期連載<2026年どうなる家電量販店>では、2025年の家電流通市場や決算資料などを振り返りながら、家電量販店各社の26年を占う。最終回は上新電機とノジマの2社をみよう。

EC販売が過去最高の売上高に、リフォームを強化する上新電機
上新電機の26年3月期の第3四半期累計決算(4~12月)は、売上高3250億3200万円(前年同期比110.2%)、営業利益30億8200万円(同207.2%)、経常利益28億6900万円(同208.9%)、当期純利益28億100万円(同117.0%)の増収増益だった。商品別売上高をみても、冷蔵庫を除くすべての商品で前年を上回った。
家電業界全体と同様にエアコンやスマホ、PCが好調だったことに加え、オフィシャルスポンサーである阪神タイガースの2年ぶりリーグ優勝に伴うセールが売り上げの伸長に貢献。優勝セールは店舗売り上げへの寄与が大きく、2637億900万円(同110.4%)と伸びた。1店舗当たりの売上高も12億円台に到達した。
また、EC販売も過去最高の売上高590億7000万円(同120.0%)を記録。売上構成比は前年の16.7%から1.5ポイント増加の18.2%まで高まった。店舗販売の売上構成比が前年とほぼ同じ81.1%であることからも、EC販売が増収をけん引していることがわかる。

25年6月に高橋徹也氏が新社長に就任。リフォーム事業を成長事業と位置付け、強化することを打ち出している。さっそく26年2月、「DOのリフォーム」の全株式を取得して子会社化。同社の商号を「ジョーシンリフォーム近畿」に変更し、新会社を4月1日に設立してグループ一体として取り組む。
DOのリフォームは、もともとAnd Doホールディングスの100%子会社であるハウスドゥ・ジャパンのリフォーム事業を26年2月に吸収分割して継承した企業だった。上新電機はさらに踏み込んで、全国730店舗超のネットワークを持つハウスドゥグループとの協業に向けた検討を開始すると発表している。
なお、26年4月1日から上新電機は商号をJoshinに変更する。新しい商号には、「電機」の枠にとらわれない柔軟な組織体制への移行が込められている。リフォーム事業の強化に向けたM&Aも、その一環といえるだろう。

家電量販の中でも絶好調のノジマ、法人向けEOSでVAIOに特需
買収により25年1月、ノジマグループに連結入りしたPCメーカー・VAIOは、売上高の約9割を法人向けで占める。26年3月期上期決算で明らかになったVAIO(プロダクト事業)の売上高は342億1400万円、経常利益は31億4100万円(経常利益率9.2%)だった。第3四半期累計決算(4~12月)でも、売上高474億8200万円、経常利益37億5100万円(同7.9%)と好調だった。

EOSによる買い替えは、個人向けより法人向けが先行して進む。ノジマによるVAIOの買収は、この特需を見事にとらえた形だ。ただ、今後も緩やかに買い替えが進む個人向けは弱いため、「特需」で終わらせないためにもノジマの全店舗で展開し、顧客への提案力を強化していく。なお、世界的なメモリー価格の高騰や供給不足が懸念されているが、VAIOは安定的な供給体制を確保しているという。
ノジマの26年3月期第3四半期累計決算(4~12月)は、売上高7139億2800万円(前年同期比115.8%)、営業利益406億1100万円(同125.0%)、経常利益450億4000万円(同129.4%)、当期純利益291億9200万円(同126.5%)となり、家電量販店の中でも群を抜く伸び率で増収増益を達成した。

ノジマの中核事業である「デジタル家電専門店」の売上高は2456億1900万円(同109.6%)で過去最高を更新。PCのほか東京ゼロエミによるエアコン、スマホ販売が好調だった。店舗展開でも、首都圏を中心にしたドミナント展開や小型店舗の出店、既存店舗の適正化など効率的な店舗づくりを進めているという。
もう一つの柱である「キャリアショップ」は、売上高2854億5900万円(同107.1%)、経常利益181億6500万円(同161.8%)で売上高と経常利益で過去最高を更新した。キャリア各社の「U22割」などによる若年層の囲い込みが活発化したり、通信と金融、決済サービスの融合などによる「経済圏」の拡大による顧客の多様なニーズに対し、高い接客技術のグループ内共有を進めながら事業拡大をしていくという。
なお、ノジマは26年3月、本部を神奈川の横浜みなとみらいから東京・品川の品川インターシティC棟に移転。同じ棟内に2月、ノジマ初となるロボットショールーム「MIRAI ROBO SQUARE」をオープンした。

一般にも公開しており、野島廣司代表執行役社長が「このような場所は、日本にはほかにありません。一般のお客様も技術者の方々もお越しいただき、ロボット産業が普及して日本が良くなることを願っています」と語るように、様々なロボットを展示して未来のロボット社会を身近に感じてもらう。装着型サイボーグによる生活支援や医療・介護・接客などにおけるヒューマノイドコミュニケーションロボット、一般家庭向けの癒し系ロボットまで国内外メーカー約20社のロボットを展示。購入の相談も受け付けている。

3月末で家電量販各社の26年3月期決算が締まる(ビックカメラ除く)。EOSによるPCの買い替えやゲーム、エアコン販売の好調、また直近26年2月の月次速報値をみても、おおむね各社の通期決算は増収で着地しそうだ。
ただ、2026年(27年3月期)を占うには米国のイラン攻撃による原油高や中国からのインバウンド減少、物価の高騰、住宅価格の高騰による居住空間の狭小化、メモリー不足など不確定要素が大きい。そんな中でも家電量販各社はPBを強化したり、新しいサービスの開発にチャレンジしたり、リフォーム事業やEC販売を強化したり、M&Aを進めたりしながら売上規模の拡大を図っていく。(BCN総研・細田 立圭志)



