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エディオンの久保允誉会長、太陽光パネルの「2030年大量廃棄問題」への危機感からグループ会社で「PVリサイクル工場」を稼働

 エディオンは5月13日、小型家電リサイクルを手掛けるグループ会社イー・アール・ジャパン(ERジャパン)の工場敷地内に、「PVリサイクル工場」を新設し、本格稼働させた。竣工式の挨拶でエディオンの久保允誉代表取締役会長執行役員CEOは、太陽光パネルの「2030年大量廃棄問題」への危機感と経営理念に掲げる「完全販売」の一環であるとの考えを示した。リサイクル率100%を目指すPVリサイクル工場の稼働は、家電量販業界で初、広島県東部エリアでも初となる。


エディオンの久保允誉代表取締役会長執行役員CEO
エディオンの久保允誉代表取締役会長執行役員CEO

「このままでは生活圏の近くにゴミとして捨てざるを得ない」


 太陽光発電システムの中核デバイスである太陽光パネル(PVパネル)は、2012年の固定価格買取制度(FIT)をきっかけに普及が拡大した。FITは太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電の再生可能エネルギーで発電した電気を、国が一定期間、固定の価格で買い取ることを保証した制度。事業者だけなく、個人向け太陽光発電システムの普及を後押しした。


 ただ、高度なリサイクル施設の不足や、政府による再資源化の法整備が審議中であることなどから、廃棄パネルの多くが埋め立て処分に頼らざるを得ない状況にある。約20年といわれる製品寿命を迎える2030年、年間最大50万トンのPVパネルの大量廃棄が発生することが予想されている。


 エディオンはFIT導入より前の2008年、旧サンキュー(旧100満ボルト)では07年からPVパネルの販売を開始している。製品寿命からも今回、国の法整備を待たずしてPVリサイクル工場を稼働させた。


PVリサイクル工場(外観)
PVリサイクル工場(外観)

主要設備の「色彩選別機」(左)と「粉砕機」(右)
主要設備の「色彩選別機」(左)と「粉砕機」(右)

 久保会長執行役員CEOは竣工式の挨拶の中で、ある強い危機感から2022年にPVパネルリサイクルの検討を指示したと明かした。


 「2030年の後半に年間最大50万トンものPVパネルが廃棄されると予想される中、現在ある施設のままだと14万トンの処理しかできない。日本の埋め立て処分場は、残り約20年で限界を迎えるといわれている。このままでは私たちの生活圏のすぐ近くにゴミを捨てざるを得なくなる深刻な状況が発生しかねない。PVパネルはクリーンエネルギーを生む存在だが、出口であるリサイクルが確立されていなければ、真に持続可能な社会とはいえない」。


テープカットの様子
テープカットの様子

 また、経営理念である「完全販売」にも触れ、合致する取り組みであることを強調する。


 「エディオンの経営理念の完全販売は、ただ商品を売るのではなく、リサイクル、循環型社会を築いていくという考え。日本は資源が乏しいと言われるが、電子機器にあふれた世界トップレベルの都市鉱山を持つ国でもある。売るだけでなく、商品を使い終わった後も再び資源として活用していくことが、エディオンの経営理念でもあり、ERジャパンの使命でもあり、今回の設備投資を決断した。埋め立てゼロ、リサイクル率100%を本気で目指していきたい。新工場は資源循環型社会への小さくも確実な一歩である」と語った。


エディオンのリフォーム事業
エディオンのリフォーム事業

 エディオンは、リフォーム事業を第2の収益の柱にすべく力を入れている。09年の本格参入から約15年で売上高668億円規模に拡大。連結売上高比率で約8%以上まで拡大している。24年の年間施工件数実績は14万件超。太陽光発電システムは、エコキュートや蓄電池とセットで販売し、家庭におけるエネルギーを創出する主力商品となる。


 中東情勢など不安定なエネルギー資源環境から、今後も光熱費の高騰が家計を圧迫することが予想される。自家発電や蓄電ニーズは高まるばかりだろう。PVパネルのリサイクルは、待ったなしなのだ。


ハンマー粉砕と光学選別で様々なPVパネルをリサイクル


 PVリサイクル工場は、広島県福山市箕沖町のERジャパンのビンゴエコ団地内に立地する。延べ床面積は767.25平方メートル。


 主な設備はPVフレームとパネルを分離する「PVフレームセパレーター」と、ガラス素材が多いパネルを粉砕する「PVリサイクルハンマー」、不純物の混入を抑えた高純度なガラスカレットとして回収する「デジタル色彩選別機」など、最新鋭の技術を導入した。ハンマー粉砕と光学選別により、従来は困難だった自然災害による破損パネルや様々な形の家庭用PVパネルのリサイクルが可能になった。


アルミ枠セパレーター
アルミ枠セパレーター

 北海道を除くエディオンの直営店で販売したPVパネルを中心にリサイクルする。また、撤去や回収したものであれば他の販売店や産業用PVパネルも受け付けるという。


 1日当たりの処理能力は、1日8時間操業で約240枚(1枚当たり約2分で処理)。2035年に年間で約4万枚、約800トンのリサイクルを目指す。作業員は3人で、地域の障害のある人の雇用に貢献している。


再資源化した素材の一部
再資源化した素材の一部

 収益は、選別したリサイクル素材の販売だ。PVパネルは約62%がガラス素材で、提携先を通じて建材用グラスウール(断熱材)や土木用資材などの製品に再生する。アルミも約16%とれるほか、国内マテリアルリサイクル業者でプラスチック系や銀、銅などメタル系の素材に再資源化する。


環境保全と経済活動の両立で地域の要の施設に


 ERジャパンの乗常久志代表取締役社長は、「広島県の東部地域でPVパネルのリサイクルを専門に行う施設は少なく、民間企業として先駆け的な取り組みとなる。小型家電リサイクルで培った技術でPVパネルを適正に処理し、再び資源として循環させる地域密着型インフラとしての責務を果たしていく。真の挑戦はこの瞬間から。環境保全と経済活動を両立させるサーキュラーエコノミーの実現に向けて邁進していく」と語った。


乗常久志代表取締役社長
乗常久志代表取締役社長

 広島県からは環境県民局 循環型社会課の石田陽子課長が参加した。


 「PVパネルのリサイクルやリユースの促進による最終処分の削減が重要になっており、国会でも太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律案の審議が進められている。県でも県内事業者のリユースやリサイクルのシステム構築が重要と考え、広島県廃棄物排出抑制・リサイクル施設整備等補助金の交付により、資源循環に資する研究開発やデジタル技術を活用したリサイクル施設の整備を支援している。


 こうした中、県東部エリアで初のPVリサイクル処理施設を先駆的に整備していることについて、有識者も高く評価している。本県も今後の稼働に大きな期待を寄せている。地域のPVパネルリサイクルを推進する要の施設として、より一層ご尽力いただくようお願いする」と語った。


広島県の石田陽子課長
広島県の石田陽子課長

 PVパネルの売りっぱなし問題は、近い将来、社会的な課題となる。販売店であるエディオンが、販売や施工だけでなく、回収、再資源化までグループ内で完結する一貫体制を確立した意義は大きい。地域の要の施設として、今後の成長への期待も膨らむだろう。(BCN総研・細田 立圭志)


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