経験と勘にサヨナラ!POSデータで始めるデータドリブンマーケティング入門
- BCN総研ブログ

- 10月20日
- 読了時間: 5分

「マーケティングは経験と勘が重要だ」――かつてはそう言われることも少なくありませんでした。しかし、現代のビジネス環境では、膨大なデータが日々生み出されており、そのデータを活用して意思決定を行う「データドリブンマーケティング」が主流になっています。今回は、このデータドリブンマーケティングをPOSデータから始める方法について、分かりやすく解説します。
データドリブンマーケティングとは?
データドリブンマーケティングとは、顧客データや販売データ、ウェブサイトのアクセスデータなど、様々なデータを収集・分析し、その結果に基づいてマーケティング戦略を立案・実行・改善していく手法のことです。経験や勘に頼るのではなく、客観的なデータが示す事実に基づいて判断を下すため、より精度の高い、効果的なマーケティング活動が可能になります。
なぜPOSデータがデータドリブンマーケティングの第一歩に最適なのか?
データドリブンマーケティングと聞くと、高度な分析ツールや専門知識が必要だと思われるかもしれません。しかし、多くの企業にとって身近にあり、かつ非常に有用なデータが「POSデータ」です。POSデータがデータドリブンマーケティングの第一歩に最適な理由は以下のとおりです。
1.手元にあるデータ
多くの小売業では、すでにPOSシステムが導入されており、日々の売上データが自動的に蓄積されています。そのため、新たなデータ収集の仕組みを構築する必要がありません。また、BCNのように提携する小売業のPOSデータを収集し、これを集計してメーカーサイドに提供するケースにおいてもメーカーサイドの仕組み構築や収集・運用コストはかかりません。
2.具体的な購買行動
具体的な購買行動: POSデータは、実際に商品が購入されたという「事実」を記録しています。これにより、顧客の購買行動を最も直接的に把握することができます。
3.分析のしやすさ
分析のしやすさ: 日時、商品、数量、金額などの基本的な情報が整理されているため、比較的容易に分析を始めることができます。
POSデータで始めるデータドリブンマーケティングのステップ
では、具体的にPOSデータを使ってデータドリブンマーケティングを始めるにはどうすればよいでしょうか。以下のステップで進めてみましょう。
ステップ1:現状の「見える化」と課題の特定
まずは、現在の売上状況をPOSデータで「見える化」することから始めます。売れ筋・死に筋商品のランキングや週次や月次での売上傾向などを分析します。この段階で、「なぜこの商品は売れているのか?」「なぜこの期間は売上が低いのか?」といった疑問や課題を具体的に特定します。
例:
①「新商品Aは売れているが、新商品Bは全く動かない」
②「ある時期から売上が徐々に落ちてきている」
ステップ2:仮説の立案
特定した課題に対して、「なぜそうなっているのか?」という仮説を立てます。この仮説は、経験や勘も参考にしつつ、データから得られた示唆と結びつけることが重要です。
例:
①「新商品Bは全く動かない」→「ターゲット層に商品の魅力が伝わっていないのではないか? あるいは陳列やサイトでの掲載場所が悪いのではないか?」
②「ある時期から売上が徐々に落ちてきている」→「競合他社の商品が売れているのではないか? ターゲット層以外に認知されていないのではないか?」
ステップ3:施策の実行
立てた仮説に基づいて、具体的なマーケティング施策を実行します。この際、施策の効果を測定できるよう、事前にKPI(重要業績評価指標)を設定しておくことが大切です。
例:
①「新商品Bは全く動かない」→「商品の魅力を伝えるサイネージを店頭に設置し、サイトでの掲載場所をより目につきやすい場所に変えてみる」
②「ある時期から売上が徐々に落ちてきている」→「店頭でのPOPを変更し、なおかつ多くの目に留まるよう広報宣伝活動やキャンペーン活動を強化する」
ステップ4:効果測定と改善
施策を実行したら、再度POSデータを用いてその効果を測定します。設定したKPIがどのように変化したかを確認し、施策が成功したのか、さらに改善が必要なのかを判断します。もし効果が芳しくなければ、別の仮説を立てて新たな施策を試みる、というサイクルを繰り返します。
例:
①「サイネージを設置したら商品の売上が10%増加した」→「施策は成功。他の商品にも応用できないか検討する」
②「キャンペーン後も新商品Bの売上が伸び悩む」→「商品の魅力ではなく、価格設定に問題があるのではないか?という新たな仮説を立てる」
まとめ:データドリブンでマーケティングを「科学」する
POSデータは、経験や勘に頼りがちなマーケティングを、客観的なデータに基づいた「科学」へと進化させるための強力なツールです。売上データの「見える化」から始まり、課題の特定、仮説の立案、施策の実行、そして効果測定と改善というサイクルを回すことで、あなたのマーケティング活動は着実に成果を上げていくでしょう。
データドリブンマーケティングは、一度始めれば終わりではありません。常にデータを観察し、学び、改善を続けることで、お客様のニーズに深く寄り添い、ビジネスを成長させるための羅針盤となるはずです。ぜひ、今日からPOSデータを活用したデータドリブンマーケティングに挑戦してみてください。




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