薄型テレビ市場、mini LED搭載の液晶テレビ台頭で割りを食う有機ELテレビ
- BCN

- 8月5日
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1: POSデータから見る薄型テレビ市場
薄型テレビ市場は25年に入ってから、販売台数・金額とも前年並みの水準で推移している。平均単価は8-9万円の間だ。新生活に向けて小型の販売台数が増加する2-3月は平均単価が下落。その後、6-7月の夏のボーナス商戦に向けて再び平均単価は上昇するというサイクルを繰り返している。
メーカーシェアをみると、TVS REGZAがコンスタントに2割台半ばで推移。2位は2割前後でシャープ、3位はHisenseが2割目前という状態が続いている。これら3社を追う形で、TCLとパナソニック、ソニーが4位争いを展開している状況だ。
2: 4K以上の液晶テレビは前年を上回る水準に
4K以上の液晶テレビでは、25年に入ってから販売台数・金額とも前年を上回る状況が続いている。この販売好調の要因は、mini LED搭載製品がけん引しているためだ。
mini LEDは比較的新しい技術のため、平均単価も11万円台と薄型テレビ全体よりも少し高い水準で推移している。メーカーシェアではTVS REGZAが首位、2位はシャープ、3位はHisenseで、薄型テレビ全体での順位と同じだ。
3: 有機ELテレビは前年比5割程度まで落ち込む
一方、販売が不調なのは有機ELテレビ。24年9月から販売台数は前年の半分くらいの水準まで落ち込んでいる。この状況は、先述したmini LED液晶テレビに需要が取られているためと考えられる。
mini LED液晶テレビは従来よりもはるかに小さなLEDを採用し、発光を制御するエリアの分割数を増やすことで従来の液晶テレビが苦手だった黒の表現を大きく改善。液晶テレビの特徴でもある高輝度と合わせて有機ELテレビと遜色ない高画質を実現している。
映像の階調表現や高精細画質という点で有機ELは圧倒的に優位だったが、mini LED液晶テレビの台頭でその優位性が薄れている。これに加えて、mini LED液晶テレビはmini LED非搭載の液晶テレビよりも高価格だが、有機ELテレビより低価格だ。
メーカー各社では有機ELテレビのラインアップを縮小、あるいは撤退する動きがある反面で、mini LED液晶テレビはラインアップの拡充やシリーズ化という傾向にある。mini LED液晶テレビの製品としての進化や価格戦略、販売戦略などが絡み合い、有機ELテレビの落ち込みにつながっているのだろう。
4: まとめ
動画配信や見逃し配信などの各種サービスの普及・拡充に伴いレコーダー市場は影響を受けている。しかし、前述のとおりテレビは前年並みの水準を維持していることから、テレビを視聴する需要は衰えていないと言えそうだ。ただし、動画配信サービスの普及拡大により、テレビで何を視聴するかは以前と様変わりしているのが実状だ。映し出す映像が地上波や衛星といった放送波から、ネットに接続して配信映像を映し出しているという傾向は、この先さらに進んでいくかもしれない。




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